俺様彼氏と空手彼女
「…かわいすぎ」
「え?」
ぼそり、と言ったから聞こえなかった。
「何?聞こえなかった」
「うるせー、二度も言うかよ」
パッと、顔を反らしてさっさと歩き出す森崎。
一瞬見えたあいつの顔が赤かった気がしたのは、夕日のせいだよね…?
「璃衣。」
「え、な何?」
「俺のこと、名字で呼ぶのやめろよ」
「へっ??」
って、言われても…。
なんて呼べば…
葵くん♪とか??
まさかそんな…
「葵。下の名前で呼んで」
まじで葵くん♪ですかー!?
いや、ムリだし。
だってそんな、カレカノっぽいこと…