俺様彼氏と空手彼女
嵐の前触れ。
窓を開け、ぼんやり夜風にあたる。
風に乗って揺れる髪が首筋をくすぐっている。
そんなときだった。
コンコンッ
ドアをノックする軽やかな音が部屋に響き渡る。
「誰?」
「俺だよ。狼さん。赤ずきんちゃん、開けて♪」
アホか。
狼だとわかってて開けるわけないでしょうが。
しかも何、狼って。
意味わかんないんだけど。
「何、シカトー?」
相変わらずつれねぇなぁ、と部屋の外から声がする。
「アンタが意味不明なこと言うからでしょ」
「えー。だって俺、肉食だし♪」
人間は雑食です。