俺様彼氏と空手彼女
このすましたツラが気に入らねぇな。
「璃依を泣かせてみろ、ただじゃおかねぇ。」
「泣かせた覚えはありませんし、泣かせるつもりもありません」
「そうやってしらばっくれてられるのも、今のうちだ。俺はお前から、璃依を奪ってやる。覚悟しとけ」
「…っ!?」
これにはさすがに、動揺したらしい。
わずかに目を見開き、眉間にしわを寄せる。
「わかったか、若造」
年は大して変わらなさそうだが。今は、そんなことどうでもいい。
「そうかよ…。」
冷たい目で、無表情に切り返す。
声もずっと低く、ドスが効いていた。
俺でさえも、ぞくりとさせられるものがある。