俺様彼氏と空手彼女
「落ち着いたか?」
「うん…。ごめん、隼人」
「いや、別にいいよ」
凜と葵を見て耐えきれなくなった私は、隼人に抱きついて声をあげて泣いてしまった。
私は、隼人の気持ちに答えられなかったのに
それでも隼人は、変わらず優しくて。
その優しさに、すがってしまったんだ。
「俺は、お前を裏切ったりしない。」
突然真剣な顔で切り出す隼人に、私は曖昧な否定しかできなかった。
「私は、別に裏切られたわけじゃ…」
「同じことだろ。お前以外のヤツとキスしてたら」
「私と凜を、見間違えたのかも。」
そう、きっとそう。
私は自分に言い聞かせるかのように、何度も頭の中で呟く。
私と凜を完璧に見分けるのは、お母さんとお父さんくらい。
隼人でさえ時々間違ってた。