俺様彼氏と空手彼女
私と凜が別れた辺りに到着したお巡りさんたちを確認し、声を張り上げる。
「お姉ちゃーんっ!そっちじゃないよー!!」
すると、迷わず警官たちは凜ではなく私の方へと駆け寄ってきた。
予想通りにお巡りさんが動いてくれてホッと胸を撫で下ろす。
姉があっちの女の子ということは事件を起こした妹はこっちだと錯覚させられる、とっさに考えた作戦だった。
「事件を起こしたのは君だね」
息を切らしながら、私に問うお巡りさん。
表情がよく見えないからか、ちょっと怖い。
「…はい。逃げて、すいませんでした」
恐る恐る、私は頭を下げる。
「交番まで、一緒に来てもらうよ」
「…はい。」
これが、事件の全容だ。
喧嘩を売ったのは向こうだったので、私はそこまで罪に問われることはなかった。
でも、相手の一人が左手首を捻挫してたらしく
問題がややこしくなり、私は学校を転校した。