俺様彼氏と空手彼女
「そっか。じゃあ、お詫びっ」
そう言って、イタズラっぽく笑うとちょっと背伸びして俺に寄せる唇。
おいおい、さすがにこれはおかしくねーか。
それでも、俺の体は自制心が働かなくなっていて
そのキスを受け入れてしまっていた。
背中に回された腕を感じ、俺もそれに答えるかのように頭に手を添えてさらに深く口付ける。
しかしその瞬間、疑惑は確信へと変わった。
慌てて、引き剥がし距離をとる。
これは、璃依じゃない。
すると、
「ばれちゃった?」
と言って璃依と同じ顔で、にやりとほくそ笑む永井凜。
憤りが体を支配するのがわかった。
しかしそれは永井にではなく、俺自身。
なんでもっと早く気付かない。
気付けるチャンスはいくらでもあっただろ!
苛立たしげに、ふと視線を外すと遠くを歩く二人の後ろ姿が目に入った。
璃依…!?
それにあれは、璃依の従兄だとかいう…!
見られた。
その事実に気付いた俺は、ただ呆然とするしかなかった。