俺様彼氏と空手彼女
そこに写っていたのは、キスをしている璃依とその従兄。
その写真が、俺をさらに追い込んだことは明白だった。
胸に、鈍い痛みが走る。
璃依は、俺よりあの従兄を選ぶ。
永井のその言葉がいつまでも俺の中を駆け巡った。
「葵くん、可哀想に。慰めてあげようか?」
意味深な微笑みとともに伸ばされた、華奢な腕。
俺は、即座にその腕を振り払った。
「うるせぇ、そんなもんいらねぇよ」
あっそ、と永井は少しムッとした様子で俺を見上げる。
「そんなこと言っていいわけ?あんたの大事な大事な璃依ちゃんが学校で居場所を無くしちゃうよ?」
「は?お前なにを言っ…」
「璃依はね、中学のとき暴力事件を起こしたんだから。そのせいで学校も転校させられたんだよ?」
「っ!?嘘つくなよ!!」
「嘘かどうか、決めるのは葵くんでも璃依でもないよ。みんなだよ」
冷たく笑う永井に、考えていることがたやすく連想できた。
こいつは、璃依の噂を流す気だ…。