俺様彼氏と空手彼女
「その間に俺は着替えてきますから」
そうだった。
こいつ制服だったんだ。
「そーか、急げよー」
「はい」
森崎葵は、壁ぎわに無造作に投げ捨てられた胴着を拾うと、体育館を出ていった。
あれ?でも、更衣室って体育館の中にあるよね…。
なんでアイツ出てったんだろ…。
「よぅし、牧瀬。どっからでもかかってこい!」
坂井先生はアイツが出ていったことに何の疑問も持たないようで
わくわくしたように構えた。
「…はぁ。じゃ行きますよ、先生」
そんなこんなで、私と先生が組み手を初めてからだいぶたつんだけど
アイツはなかなかやってこなくて
気付いた時には、もう部活の始まる時間だった。
部員達も続々と集まって来てて、私と先生の組み手を見物してた。
どうやら部員のほとんどは男子みたいで、女子は私の他にいなかった。
「…はぁ。」