俺様彼氏と空手彼女
「カバンがあったから、もしかするとって思って来てみたんだけど、まさか本当にいるとは思わなかった。」
「何か用か?」
「話があるの。」
「話?」
「璃依のことだよ。」
だいたい予想はついていた。
寄りを戻せ、って感じの話題だろう。
もう、覚悟は決めている。
「ああ、俺…」
「璃依を助けて欲しいの」
助ける…?
明らかに、予想していた展開ではない。
どういうことだろう。
「璃依は、森崎くんと別れてから森崎くんを裏切った浮気者として噂になってる。周りからひどいいじめを受けている。今は少し落ち着いたようだけど、時間の問題だよ。」
なん…だって…?
愕然とした。
ならば、俺が距離を置いていた意味がまるでないではないか。
それどころか、距離を置いていた方が璃依にとっては余計苦痛だったはず。
しかも、浮気者だと?
おかしい。
そんな噂どこから…