俺様彼氏と空手彼女
やっぱ空手やる女なんて、私くらいだよね…。
しかもアイツ戻らないし…。何やってるわけ!?
結局アイツが戻ってきたのは、部活の始まるギリギリの時間だった。
部活も無事終わり、だいぶ薄暗くなった帰路についていた時。
ふいに後ろから名前を呼ばれた。
「牧瀬」
振り返ると、そこにいたのはアイツだった。
「お前、一人で帰ってんの?」
「み、見て分かんないの?」
「…友達いねぇの?」
「友達くらいいるよ!!」
「ふーん、そう」
アイツはそれだけ言うと、また歩きだした。
って、そんだけかよ…。
私を少しだけ追い抜かして行くと、急にピタッと立ち止まった。
「…??」
「行かねぇの?」
「…は??」
「てめぇの家、こっちなんだろ?途中まで送ってやる」
は?なんでそうなるの!?
「いっいいよ!!一人で帰れるし!」
「ついでだ、ついで。俺もこっち」
「でも私の家は…きゃっ」
断ろうとしてた私の言葉を無視して、アイツは私のカバンをひったくった。
「ちょ…返してよっ」