俺様彼氏と空手彼女
「もう、やめてよ凜…。双子の姉妹なのにこんなこと…。」
「…っ」
「私…、凜が好きだよ。明るくて人気者で。私と正反対ですごく羨ましかった。」
「え…っ」
「私には、何の取り柄もないのに…。」
「嘘…。璃依は私の憧れなんだよ。空手も勉強もスポーツも、何一つ勝てなかった。だから、私…」
凜は、ふるふると肩を震わせ静かに泣き始めた。
「璃依…ごめん、ごめんなさい…っ」
小さな妹みたいに、凜は私の胸に顔を埋めて泣きじゃくった。
こうして、私と葵の小さな事件は幕を閉じた。
この、凜がやったことは明るみに出ることはなくて、凜は今も普通に通えているが、転校も考えているらしい。
そして私の噂も、虚偽のものだったとしてゆっくりと広まりつつある。
それに伴い、私の伝説も広まっているらしい。
ヤクザ相手に啖呵をきり、組を2つ3つ潰しただとか。男子校のヤンキーたちを一人で一蹴しただとか。デス〇ートを実際に所持しているだとか、根も葉もない噂ばかりだ。