俺様彼氏と空手彼女
でも、火の無い所に煙は立たぬというし、きっと何かしたときに目撃者にでも噂され、尾鰭がついたのだろう。
お陰で、嫌がらせされることも陰口も一切なくなった。
一方で、話し掛けただけで泣かれるのはちょっと深刻だが…。
隼人はと言えば全てのことを私と葵に謝ってくれた。
そしてこれからも、従兄弟として仲良くしていけるだろう。
そんな隼人は北海道大学のセンター試験に見事合格し、春から北海道大学に通うことになった。
全て、何の問題もなく丸く納まった。
一つを除いては。
「ここにいたのか、璃依。探した。」
噂をすれば。
唯一の問題がきた。
「今日も、一緒に帰ろう」
「い、いいけど、手は繋がないからっ」
事件以来、葵はスキンシップが激しくなった。
学校でもやたらベタベタし、恥ずかしくなる。
昨日なんか、教室からずっと手を繋いで下校させられた。
離せないよう、がっちりと。