俺様彼氏と空手彼女
「何むくれてんだよ」
「むくれてなんかないし!バカ葵!!」
放課後。
いつものように一緒に帰っている私たち。
でもいつもと少し違うのは、葵と手を繋いでないこと。
また掴まれそうになったから、慌てて距離をとったのだ。
「そんなあからさまに距離とって警戒心むき出しのくせに、むくれてないわけねぇだろ」
「別に…っ、いつも通りだよ!」
慌てて言い返せば、ちょっときつい言い方になってしまった。
そしたら、ほんの少し眉をひそめて綺麗な黒髪をくしゃっとかきあげた。
あ、しまった…
葵がこうするときは、少し落ち込んでいるのだ。
普段、顔には出さないけど最近ようやくわかってきた。
「あ、あの…ごめん。あんな言い方するつもりじゃ…」
その途端、葵はニヤリとほくそ笑んだ。
はっとしたが、もう遅い。
「謝罪なら、口付けで」
「っ…!!バカ葵!アンタなんか大嫌いなんだから!」
「うそつけよ。俺が好きで好きで仕方ねぇんだろ?」
「〜っ!!」