俺様彼氏と空手彼女
「よぉ、永井」
ぶっきらぼうに森崎は答えた。
だけど、それでも凜は
「きゃぁー!!葵くんが初めて返事してくれたっ!!」
って、すごく喜んでいた。
「葵くん。永井なんて呼ばないで、凜って呼んでいいんだよ??」
「…そうだな、凜」
ズキンッ…。
今までにないくらい、胸が痛くなった。
『…そうだな、凜』
その言葉が、何度も頭の中をリピートする。
…なんで。
『璃依…』
なんで…。
『牧瀬??』
…なんで。
なんで、こんなに胸が苦しいの…。
どうして、こんなに辛い気持ちになるの…。
ポロ…ッ
気付いたとき、私の頬には肌を撫でるように落ち行く雫がありました…。