俺様彼氏と空手彼女
「…り、い…??」
突然涙を流す私に驚いたようにたじろぐ玲菜。
「…っ」
止まらない涙と胸の痛みに耐え切れなくなった私は、教室を飛び出した。
「璃依っ!?待ってよ璃依!!」
私は、足の向くままに走っていた。
…どこに行こうか、決めてたわけじゃない。
けど、自然とここに足が向いていた。
あの、音楽室の手前にある廊下に。
森崎と、初めて会話したあの廊下に。
教科書を踏まれた、あの廊下に。