俺様彼氏と空手彼女
教室に戻ってみると、璃依の周りにはたくさんの奴らが集まっていて、璃依に何やら詰問を繰り返してたようだ。
いつも俺にしてたみたいに言い返すのかとも思ったが、ただ困ったように首を振っていた。
「牧瀬さん、あいつと付き合うことになったんでしょ?」
「だから、誤解だって…」
「誤解も何も、抱き合ってたじゃん。教室の前でさー」
「まさか、森崎くん相手に遊びとか言わないわよね」
「だとしたら、森崎くんかわいそー」
興味津々の男子数人と、いつも俺の周りにまとわりついてた女どもが璃依を取り囲んでいて
わずかな隙間から、泣きそうになっている璃依の顔が見えた。
「だから…っ、違っ…」
「何が違うって?」
否定する璃依と、その璃依に対する周りの反応にかすかな怒りを覚えた。
「森崎…っ」
璃依が救いを求めるかのように、俺の名を呼ぶ。
あぁ、くそっ。
もっと早く来りゃよかった。まさかこんなことになってるとは。