1/5の罪と傷、6%の生きる糧

Boss

私の記憶は、

喫茶店でコーヒーを飲んだ後も

しっかり飛んでいて、

その次に私が思い出せる記憶は、

会社兼住居に戻った後、

会社のパソコンを使って

ホットメールから私が妊娠したという

連絡を彼に入れた時だ。

サイパンに渡航してまだ2週間しか

経っていない私の様子が明らかに

おかしかったのだろう。

もう10時を過ぎているというのに、

まだ仕事をしていた上司の

よしみさんが声を掛けてきた。

人間は窮地に立っている時、

どうして笑えるのだろうか。

私は、苦笑いをしながら

よしみさんに言った。

「実は、妊娠しています。」
< 24 / 93 >

この作品をシェア

pagetop