1/5の罪と傷、6%の生きる糧
術後の私の記憶は、

「仮面」

に見られている事から始まった。

辺り一面が真っ黒の中で、

一つの仮面だけが

その中に浮かび上がっていて、

微動だにせずただ私を見ていた。


表情は無表情なのか、

それともあらゆる表情をしているのか

笑っているといえば笑っていたし、

怒っているといえばそうかもしれない。

そういう顔だった。


仮面は絶対的に神々しくあったものの、

そこに禍々しさもなければ

清らかさもなかった。


私は、その中で確かに私だけれど、

名前も身体も感情も、

私は私である事以外の

あらゆるものがそこには存在しておらず、

仮面がただ私を見ている、

それだけが存在した。



< 42 / 93 >

この作品をシェア

pagetop