1/5の罪と傷、6%の生きる糧

Awoke

まずは、目を開く事に時間がかかった。

うっすらと目が開いて天井を確認して、

自分が寝ていると理解して、

カーテンが横に仕切ってある事を見て、

生理のパッドがある感触を覚えた後、



『私は中絶をしたのだった。』

という事実が確認できた。



痛いのに首も動けない状態のまま

声も出なかった。

とても寒くて、

喉が異様なほどに渇いていた。

視覚と聴覚だけがきちんと働いていて、

看護婦さん達が、

私の次に中絶した人々を2回程

運んだ事は分かった。

少しずつではあったけれど

首と手が動けるようになって来て

気持ち悪い感覚を覚えはじめた。

『とにかく水が飲みたい』

そう思った私は、

少しずつ自由のきいてきた身体で、

何とか立ち上がって布団から出て、

カーテンを開けて

ふらふらのまま歩き出した。

私を見つけた看護婦さんが

時計を確認して驚いた顔をしながらも、

「麻酔はまだしっかり効いているのにどうしたの?」
と聞くので、

「とても喉が渇いたのでお水を下さい。あと、寒くて仕方ないです。」
と言ってはみたものの、

多分それは、

お水、寒い、程度の言葉にすぎなかった。

まだ水を飲んではいけないらしく、

そのまま倒れそうになった私を

看護婦さんが抱えて

布団まで連れて行ってくれて、

「麻酔がしっかり切れるまで寝てなさい」
と言われて、

毛布を足してくれた。

そのまま、もう一度落ちるように意識が切れた。

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