1/5の罪と傷、6%の生きる糧
久しぶりの帰国なのに、

私は友達にさえ、

会いたいとは思わなかった。

会いたい人は、本当に誰もいなかった。



借りてきたDVDを母と観た。


私が大好きな映画、ポネット。

久しぶりにフランス映画が観たかった。

ハリウッド映画ばかりを観ていると、

確かに楽しいし名作もあるけれど、

ものの捉え方がはっきりしすぎて、

単純明快なお馬鹿さんだけを培養する

そんな気がするから。

それに引き替え、フランス映画は

はずれも多いが台詞と映像のセンスが独特で

昔は色々なフランス映画をよく観ていた。


死んだ母を待つ子供の泣ける話なのに、

観ていて前と感覚が違う事に気がついた。

前に観たときは、

幼いポネットに感情移入して

思いっきり泣けた名作は、

今はポネットをこの世に遺してしまった

「母親」の気持ちが、痛い。


ポネットを見終わった私に、

母が見事な追い打ちをかけた。

「あなたが中絶や、レイプなどされてなくて本当に良かったわ。」

『お母さんごめんね。言ってないだけでレイプも中絶も経験済み。』

「・・・そうだね。」

と苦笑いながら、罪悪感と共に

それまですっかり私の辞書から抜けていた

聡を思い出した。




< 68 / 93 >

この作品をシェア

pagetop