先生大好き。
1章
――――私が先生に恋をしたのは中学3年生の春。
先生の存在は知ってたけど、たいして気にしてなかった。
中学3年生になって間もない、ある日。
ううん…
私はハッキリと覚えてる。
―――4月13日。
そのころ私には中学1年生から好きな人がいた。
大橋健太
だけど、健太と私は犬猿の中だった。
どうしても素直になれなくて、辛い日が続いて、あきらめようとしていた。
その日の休み時間も、健太と言い合いをしてずっとイライラしてた私に、友達の朱莉(あかり)が「あのさ、数学の先生でめっちゃ手品上手い人おって、今から手品見に行くねんけど、愛(まな)行く?」
「まじで?見に行く~」
私は軽い気持ちでOKをして見に行くことに決めた。
先生は2年生担任の先生で前から知っていた先生だった。
山下達也
28歳。
「手品できる先生って、達也先生やってんや」
「おー愛やん。」
「てか先生手品出来るン?」
「知らんかったん?俺めっちゃ上手いねんで!」
「ふ~ん」
「ふ~んて何やねんっ!見てから言えっ!」
正直言って私は疑ってた。
ちょっと待っててと言われ、私達は職員室の前にある机でまっていた。
しばらくしたら、先生が片手にトランプを持ってでてきた。
「んじゃ、はじめるで」
手つきがすごく良くて私は先生の手をじっと見つめた。
実際すごく上手でびっくりした。
手品をしている間、私は手品より先生の目をじっと見ていた。
先生の目はすごく茶色くて格好良かった。
――――きっと私はこの時から先生に惹かれ始めてたんだ。