白虎連合Ⅰ
意味が分からない、といった表情をした私を見て悠介は優しく微笑む。
スゥ、と手が伸びてきて。
私の持っているジュースを掴み、にっこり笑った。
「ほな俺そろそろ戻るな」
「あ、うん」
「ジュースいただきます」
そういって手を振り、背を向けて歩き出す。
私はボケッと突っ立ったままで。
悠介の背中は何かを私に伝えてる気がしている。
でも私にはそれが何なのか、その時はまだ気付けずにいた。
「ゆい、あんたまだカバー作ってへんやろ!!!」
後ろから声を掛けられ振り向くと、そこには怒った顔の紫織。
うわ、バレた。
「早く続きしなさい!!!」
「裁縫アレルギーやねん」
「龍くんみたいな事言わんでいいの!!!」
紫織に手を引かれ、教室に戻る。
裁縫道具を見てため息をついて。
仕方なく紫織に監視されながら布に針を通した。
悠介の忠告も忘れて。
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