白虎連合Ⅰ





同じ学校で紫織達以外に笑顔を向けられたのはいつぶりだろう。

いや、初めてかもしれない。

思わず動きが止まってしまった。






「…もう一本あるから大丈夫」


「マジで?じゃあ借りていいん?」


「いいよ」






終始笑顔の黒澤くんに手渡し、やっと私はシャーペンに持ち替える。

なんか変に緊張した…。





「華風さんってさ、」


「?」


「水嶋と仲良いよな」


「あ、うん」






忘れかけてたけど、黒澤くんって紫織と同じ中学やったっけ。

だから仲良いの知ってるねんな。






「黒澤くんは席隣やってんね」


「え?今更?」


「うん、さっき気付いた」


「俺は隣が華風さんって知ってけどなー」






ははっと笑い声が聞こえ、私は再びノートに書き写した。


…黒澤くんって結構明るい人やねんな。

仲間が集まるのが分かる気がする。









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