白虎連合Ⅰ
家の中は空になり、荷物があるのは私とアイツの部屋のみ。
他には、なにもない。
これからは一人。
「じゃあゆい、行ってくるな」
「なにかあったら電話してね」
「家ぐっちゃぐちゃにしんといてや」
「わかったって」
空港にはたくさんの人がいる。
旅行に行く人、見送り、見送られる人。
私もその中の一人。
ゲートの前で父達は私に話しかける。
私はその言葉に返事をした。
「ばいばい」
恩返しなど一つもしていない。
いつも私の代わりに頭を下げてもらっただけ。
そんな私を家族はどう思ったのだろうか。
「あぁ、」
ゲートの中に入っていく家族を見送りながら手を振った。
見えなくなってもずっと振っていて。
もう会えない。
皆はロンドンに行く。
涙が流れた。
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