鏡の彼
 私は、観念して決意を明かした。最初は秋本くんを始め、みんなには内緒のつもりだった。だけど、秋本くんだけに話し終えた後、すうっと肩の荷が軽くなった気がした。無理にプレッシャーをかける方が迷惑だ、とも注意された。

 でも、そんな私に秋本くんは言ってくれた。


「渡辺だったらできる――」


 力強くて、だけど温かい。優しい言葉だった。
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