鏡の彼

「えー……。今日は皆さんお疲れ様でした」


　と、始まり次に親御さんへの労いの挨拶。今回の合唱についての解説が始まった。内容はあまり耳に入らなかった。

　校長を始め、審査に立ち会ったのは音楽部の顧問と校長の知人だという楽団の指揮者がいた。その他にも音楽好きが高じてか楽団の中からも何人かが審査員として招かれていた。


「……まずは、どれも素晴らしい演奏であった為に順位を付ける事に戸惑いはございます。しかしながら、これを機に皆さんのさらなる頑張りを期待しています」

　再度、校長が話し、いよいよ順位が発表された。運命の瞬間だ、と生徒一同の緊張が高まる。

　三位は、音楽部が集中する二年三組。二位は、難曲をこなした三年一組にそれぞれ、賞状と小さな楯が手渡された。代表の生徒は大きく掲げては、みんなにそれを見せつけている。

　そして、一位のクラスが宣告される――