鏡の彼
 またも、場面はそこで終わった。私も泣いていた。母の涙に誘われ、私の涙も流れていた。


「私、本当は死んじゃってたんだね……」
 うん、と彼が首を縦に振った。
「じゃあ、私、これからどうなるの……?」


 死んじゃってたんなら、このまま消えるのだろうか。そこに彼が戻れば、何もかもが元通りになって……。


「詮索すんのは後にしろ。俺がここにいる理由、まだ知らねえだろ?」
「えっ……?」
「言い伝えさ―」

 と、促された先にはすでに新たな場面が出来あがっていた。
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