鏡の彼
 残された彼がその忘れ物に気がつく。床に落ちた一枚のプリント。

 タイトルには、『第十五回 合唱コンクール』の文字。

「ふうん……」

 鏡越しから彼はそのプリントを眺めていた。

 そこには、クラスのパートの割り振りが書かれている。ふと、彼は壁にかけられた賞状に目をやった。中学の頃の合唱コンクールで最優秀賞を獲得した時の賞状。その時のピアノ担当は――
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