オトナ彼氏∞



それからお互い何も話さず電車に乗った


りっちゃんはどうだろうねとか


今日は楽しかったねとかたくさん話したいことがあるハズなのに、話せなかった



好きだって言われて、嬉しいハズなのになぜ不安なんだろう


どうして素直にありがとうって思えないんだろう



私が一人考えてるうちに、私が降りる駅に着いた



「ちゃんと送るから、降りよ」


「だ、大丈夫だよ!」


信は普段と同じなのに、私だけがテンパってる


いつもってどんな風に話してたっけ?



「俺が送りたいだけだから。ほら」



信は優しく笑って、私の手をつかむ




私は抵抗も出来ず、ただ俯いて電車を後にした




いつもの歩道


信は車道側を歩く




いつもの自販機


いつものコンビニ





あるものは変わらないのに、私の気持ちだけが不安定に揺れる






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