オトナ彼氏∞



「どうかしたか?」


私の視線に気づいた正樹さんが顔を近づけた



至近距離に綺麗な顔があって、わけもなくドキドキする



「な、なんでもないですよ!」


「なんだ、見とれてたんじゃないのか…」



正樹さんは残念そうに肩をわざとらしくすくめた



「ま、絶対に負けないよ。だってまだ本当に何も始まってないんだから」


「正樹さん…」


「俺が勝ったら覚悟しとけよ?」



正樹さんは意地悪そうに笑って、私の頬をつんとつついた



「か、くご…?」





私は首を傾げたまま、スタート位置に向かう正樹さんの背中を見つめた



グレーのシャツ


黒い短パン




私の知らない正樹さんの高校生時代


正樹さんはどんな風に走っていたのだろう



蓮さんとの事件も気になるけど、今はこの勝負を見届けたい




< 171 / 226 >

この作品をシェア

pagetop