オトナ彼氏∞
「どうかしたか?」
私の視線に気づいた正樹さんが顔を近づけた
至近距離に綺麗な顔があって、わけもなくドキドキする
「な、なんでもないですよ!」
「なんだ、見とれてたんじゃないのか…」
正樹さんは残念そうに肩をわざとらしくすくめた
「ま、絶対に負けないよ。だってまだ本当に何も始まってないんだから」
「正樹さん…」
「俺が勝ったら覚悟しとけよ?」
正樹さんは意地悪そうに笑って、私の頬をつんとつついた
「か、くご…?」
私は首を傾げたまま、スタート位置に向かう正樹さんの背中を見つめた
グレーのシャツ
黒い短パン
私の知らない正樹さんの高校生時代
正樹さんはどんな風に走っていたのだろう
蓮さんとの事件も気になるけど、今はこの勝負を見届けたい