オトナ彼氏∞
私達が聞いていたのは、正樹さんと蓮さんはライバルで最後の大会の出場枠をかけて戦って…
「正樹さんが転んで巻き添えになったんじゃねぇの…?」
信が話すと、蓮さんは笑いだした
「おいおい!それじゃ真逆だよ!俺が転んだんだって」
「あ、兄貴が…?」
「確かに俺にとって正樹はライバルみたいな感じだった。でも、ライバルなんて言えないくらい正樹のほうがレベルが上だったんだよ」
蓮さんが言うには、正樹さんに負けたくなくて練習し過ぎたらしい
そんな疲れた体で、校内予選で走った
「そしたら案の定、走ってる途中ぶっ倒れたんだよ」
「…あれは本当にびびったな」
正樹さんは苦笑いしながら、懐かしそうに聞いていた
「その時気づいた正樹が頭ぶつける寸前で俺と一緒に倒れてくれたんだ。もし、正樹がいなかったら俺は頭直撃して、そのままさよならだったかもな」
いまでこそ笑って話せるけど、そんなことがあったなんて…
「でも、俺がちゃんと抱えて転ばなかったから…」
正樹さんは悲しそうに蓮さんの足首を見つめた
「ばーか!お前が一緒に倒れてくれたから、足折っただけですんだんだ。本当感謝してる」
蓮さんは正樹さんに笑顔を向けた
それは悲しみとか、そんなのはなくて、心からの感謝の笑顔だった