オトナ彼氏∞
神谷さんから?
なんで番号知ってるんだろうか
私はとりあえず震える指で通話ボタンを押した
「も…しもし」
『あ、結花?家着いた?』
神谷さんは至って普通の話し方で、さっきの話が嘘のようだった
『送ってけなくてごめんな。仕事がまだあってさ。まあ、アドレスは教えたからいつでも連絡してな?』
神谷さんの声を電話越しで聞くのは初めて
いつもの低めな声が少し優しくて、甘い
胸がきゅっと縛られたような感覚になる
「あ…はい!」
『それから、もう敬語もナシな?彼女なんだから』
え…
えええぇぇ?!
「そ、それはできないですっ!年上なんだし、私タメ口じゃ、しゃべれないですよ!」
『えー?んじゃ、せめて《神谷さん》はナシね。俺おじさんっぽくなるから』
神谷さんはこんなことを言っては私を困らせる