ティー・カップ
僕はビールを飲みながらエマのことを、エマとの1年の出来事を思った。

共通の知人に招かれたホーム・パーティーで出会った日のこと。

初めて二人で食事に行った帰り道、僕がエマに交際を申し込んだこと。

エマのためにピザを焼いたのにオーブンから取り出した途端、床にぶちまけてしまい二人で大笑いしたこと。

パリに旅行に行きエッフェル塔を見上げながら広場で食べたフランス・パンを使ったホット・ドッグの美味しさに感動したこと。

些細なことでエマを怒らせてしまいその日1日中、言葉を交わしてくれなかったのに、翌朝目覚めるとエマの方から謝ってきたこと。

ほかにもエマと交わしたたくさんのキスや愛の言葉など、次々と思い出が蘇ってきた。


しかし二人の出来事は簡単に思い出せるのに、エマの顔を思い出すことはどうしてもできなかった。


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