一恋
私は、ふくれっつらで前を向いた。
美里の嘘つき!
全然ラッキーじゃないじゃない。

そんなことを考えていると、
先生が入ってきた。

中2での生活の仕方とか
今年の行事とかを話された。
もちろんまじめに聞いてはいないけど。

その日はそれで終った。

私は急いで部活へ向かう。
今日は入学式で演奏をするからだ。


「おはようございまーす」


私がそうして部室に入ると
色んな人があわてて準備をしていた。

私の同じパートの先輩、
上谷 香穂(ウエタニ カホ)先輩が
私に気づいてくれたらしく、
「おはよ!」と言ってくれた。

正直1年生の時は
部活も先輩も大嫌いで
まともに練習に行ってなかった。

そのおかげで私はトランペットが
ものすごく下手だった。
おまけに香穂先輩にも見捨てられてた。

だけど、先輩は1人だけじゃなかった。


「佐那ちゃん、おはよう。」


そう声をかけてくれたのは
日川 奈乃香(ヒガワ ナノカ)先輩。

この先輩は優しい。
でも私と同じ、サボリ気味。

先輩たちとすぐ準備をして、
入学式のある体育館へ向かった。
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