with you
「ごめん。少し休みたいかも」


「じゃあ、わたしが咲の分まで応援してくる。終わったらすぐに戻ってくるね」


 真由は明るく笑うと、卓球場から出て行った。


 真由は明るく可愛い。少しのことで落ち込んだり悩んでしまう私とは対極に位置する。


 私の予測が当たっていれば彼はそんな彼女が好きなんだろう。だが、彼の気持ちが分かる分、ほんの少しだけ楽だった。


 気づいてしまった恋心は封印することしかできなかったのだ。


 バレーの応援に行くためか、先ほどまでいたクラスメイトもすっかりいなくなっていた。


 息を吐き、天を仰ぐ。


 最高であと五試合。でも、わたしはそんなに長くは残れないだろう。


 垂れてくる汗をぬぐうと、もう一度深呼吸する。


 心拍数が落ち着いてきたこともあり、少し外に出て風を浴びることにした。


 ドアを開けたとき、二人組が立っているのに気づき、どきりとする。
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