with you
　その言葉にドキッとし、うまく返事ができずに、頭を下げると、その場を立ち去るように離れていた。


　いつまでもこんなんじゃだめだとは思うけど、お父さん以外の男の人に免疫がないからかまともに話をすることができなかった。


　小学校の頃から、人と話をするのが苦手で、なんとか女の子とはできるだけ話をできるようになった。


　でも、このままだと男の人と話をするのは無理だろうなって思った。



　そのとき、携帯の音楽が響く。携帯には中学の同級生の名前が表示されていた。


「久しぶり」


　彼女は挨拶をすると、軽く高校の時の話をしだした。


「この前、村田先輩に会ったんだ。私のこと覚えてくれていたの」


「よかったね」


　村田先輩とは中学時代から彼女があこがれていた先輩だった。でも、彼に対して一途だったか、といえばそんなわけでもなく、常に彼氏がいるタイプの子だった。


「そっちの高校はどう？　かっこいい人とかいる？」


　一瞬、依田先輩と、西原先輩のことが頭を過った。



　でも、具体的にあれこれいっても説明するのが大変だったので、とりあえずそれなりにとだけ返事をしておいた。


「いつも男に興味ないって顔していたけど、咲だって彼氏くらい作ったほうがいいよ。いまどきそういうのウケないって」


　別にウケを狙っているわけでもないんだけど。


「告白されたら気軽に付き合っちゃえば？」


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