with you
 入学して一週間くらいたつと、クラスメイトの顔や名前も一致するようになっている。


 愛理は同じ中学の人だけではなく、クラスメイトの多くの人と顔見知り状態になっていた。


 人見知りなんて彼女には縁遠そうな言葉だな、と思うほど。


「咲は部活に入らないの?」


 愛理は真由の机に手を置いて聞いてきた。


「私はいいかなって思っている。愛理は入るの?」


 愛理はかなり話しやすい子だった。口数が少ない私でも、するっと何かを言いやすい雰囲気を作ってくれるのだ。そういうのってすごいって思う。


 私の言葉に肩をすくめると、苦笑いを浮かべていた。


「私も入る気はないよ。中学の時から入ったことないし」


「そうなの? 運動部とかに入ってそう」


 驚きの声を出したのは真由だった。



「いろいろ忙しかったし、できすぎる兄を持つといろいろ大変だったのよ」


 依田先輩のことなのかな。



「お兄さんは優秀だったから妹も優秀に違いないみたいに言われてさ。あの人の欠点は家庭科くらいだから」


 そういうのはあった気がする。私も小学生のときは姉に比較されていた。


 中学からは姉は中高一貫性の私立に入ったので、公立に入った私はあまり比較をされることはなかったけど。

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