with you
　真由が西原先輩のことが好きかどうかはわからないが、かなり意識しているのは知っていた。


「今日は遠慮しておく。賢の家に寄りたいから」


　真由はその言葉にほっとしたのか、落胆しているのかどっちともとれる表情を浮かべていた。


　私たちはそこで別れ、デザートを食べに行くことにした。



　愛理の言っていたカフェに行くと、私たちはそれぞれ好きなものを注文していた。


　真由はフルーツパフェで、愛理はチョコレートケーキ。私が頼んだのはイチゴショートだった。


　その品がテーブルに届いたとき私達の机に髪の長い大人の女性が歩み寄ってきた。


「愛理さん」


「高波さん」


　愛理が立ち上がろうとすると、彼女は手で制した。


「お友達と一緒のところを邪魔してごめんなさい。見かけたから挨拶がしたくなったの」


　彼女は私と真由に声をかけると、奥の席に消えていく。


「知り合い？」


　真由が愛理に聞く。

「そんなところかな」


　彼女は自分のケーキにフォークを入れていた。




　そこでケーキを食べながら、適当に時間をつぶし、お店を出た。


　真由は不思議そうにあたりを見渡している。



　彼女は引っ越してきたばかりで、あまりどこに何があるかもわからないらしい。


　休みも家にいることが多いらしく、近場しかわからないと言っていた。


「ここからどう行けば家に着くの？」


「送っていくから、そのときに教えるよ」


　愛理が私を見る。


「私は真由を送って帰るよ」


「じゃあね」
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