with you
 真由が意識するのもわかる気がする。


 西原先輩はさっさと歩いて行ってしまった。


「鞄持つよ」


 私はうなずいて、持っていたカバンを渡した。


 そのとき、依田先輩の手に私の手が触れた。


「ごめん」


 彼は私の手をかわして、鞄だけを受け取っていた。


 愛理のお兄さんだからかもしれないけど、さっきのようには怖くなかった。


 私たちは並んで歩くことになった。並んでといっても私と彼の間には距離が少し開いている。



「ああいうことってよくあるの?」


「あまりないですけど」


 人から告白されたことはなかったけど、昔から男女問わずに人に後をつけられていることはあった。



 それを依田先輩に言うと、彼は困ったような笑顔を浮かべていた。
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