with you
「実害がなければまだいいんだけど、世の中には強引に押せばいいと思っている奴もいるし。君にそういうことを言ってくるってことは、ダメ元か、かなり自分に自信があるやつが多いだろうし」


「そうなのかな」


 そう言われてもピンとこない。ただ、彼を自己中心的に感じてしまったのは確かだった。


 私のことを押せば言うことを聞きそうみたいに思っているのかもしれない。


「そう思うよ。それだけ可愛いと大変だよね。佳織もいろいろあったみたいだし」


 可愛いといわれた言葉にドキッとする。でも、彼が付け加えた名前に首を傾げる。


「佳織って、宮脇先輩のことですか?」


 その名前は知っていた。すごくきれいな先輩で、一年の間でもたびたび噂になるほどだ。


 愛理は彼女と知り合いなのか、話をしているのをみたことがある。



 名前で呼んでいるんだ。


 そのことに驚きながらも、少しだけ胸が痛んだ。


「そう。あいつには悠真さんがいるけど」


 悠真さん?


 彼氏なのかな?
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