with you
「ここで大丈夫です」


「家まで送るよ」


「大丈夫です。あと三分くらいだし。私の親は結構厳しいので、見つかると大変かも」


 そういったのはうそではない。父親も母親もそうしたことには厳しいから。


 その言葉の意味が分かったのか、彼は頷いていた。


「じゃ、また明日ね」


 彼はそういうと目を細めていた。


 去っていく彼の後姿を私は小さくなるまで見守っていた。


 彼の姿が小さくなってから、私は二人にお礼を言ってないことに気付いた。


 なんでこううっかりしているんだろう。明日は言えるかな。


 約束、か。


 彼から言われた言葉に、どこか心を和ませていた。
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