with you
「昨日の帰り大変だったんだってね。ごめんね。一緒に帰れなくて」


 きっとお兄さんから聞いたんだろう。


「大丈夫。依田先輩と西原先輩にも迷惑かけちゃったね」


「お兄ちゃんは気にしなくていいよ。あんな人だし気にしていないから。西原先輩もそんなことを気にしないと思うよ」


 彼女は笑顔を浮かべていた。


 そのとき、私たちに影がかかる。


 顔をあげると、依田先輩が立っていた。


 さっき、話をしていた女の人はもうそこにはいなかった。


 先に行ったんだろうか。


「おはよう」


 彼は私の目を見て、笑顔でそう告げた。


 さっき目があったのに、そのことを責めたりはしなかった。いつもと同じ態度で挨拶をしてくれた。


 私は目をそらし、深々と頭を下げる。


「おはようございます」
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