with you
 知らない人が依田先輩に何人か声をかけていく。そのとき、依田先輩と一緒にいたからか、何人かにじろじろと見られた。


 やっぱり先輩といると目立つんだろうな。


「新井からまた何か言われたら俺に言って。はっきり言うからさ。もう大丈夫だとは思うけど」


 私は先輩の言葉に頷いた。


「中学のときって部活とかやっていた?」


 突拍子もない言葉に歩いていた足を止めた。


 私は首を横に振っていた。



「そっか。運動もそこそこできるって聞いたから。俺は中学の時は美術部に入っていたんだ」


「美術部?」


 想像していなかった言葉に思わず先輩を見る。先輩は笑顔でうなずいていた。


「絵が好きなんですか?」


「好きかな」


 絵が、の話なのにその言葉にドキッとしていた。


「先輩は運動部に入っていると思っていました」


 運動神経がかなりよく、その中でも陸上競技はずば抜けていると聞いたことがあったからだ。それに愛理の話からもそうじゃないかと勝手に思っていた。


「それも考えたけど、自分が好きなものに入るのが一番かなって思ってね」
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