with you
 愛理が一緒に帰れないときといえば、特別用事があるときや、委員会があるときだ。前者はともかく、後者は月一度程度だ。それくらいなら一緒に帰っても迷惑じゃないかもしれない。


 愛理は私の前で手を合わせると、頭を下げていた。


「今日、臨時で会議が入ったらしくて、一緒に帰れないの。ごめんね」


「いいよ。気にしないで」


「よかった。お兄ちゃんは靴箱で待たせているからね」


 内心戸惑う私の気持ちをよそに、彼女は笑顔で私の肩を叩く。


「どうかしたの?」


 少し席をはずしていたカバンを持った真由が不思議そうにやってきた。


「お兄ちゃんと途中までだけど一緒に帰ることになっても平気?」


 愛理の言葉に真由は笑顔を浮かべる。


「いいよ。じゃ、帰ろうか」


 真由に誘われ、席を立つ。


 彼女と一緒に昇降口まで行くと、すでにそこには背丈の高い人が待っていた。


 だが、彼一人ではなくもう一人いたのだ。
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