with you
 彼の言葉にうなずき、並んで歩く。いつも愛理と別れる交差点までいき、足を止める。


 だが、彼は目を丸め子供のような目で私を見つめ返す。


「家の近くまで送るよ」


「でも、大丈夫です」


「そのとおりにすると、愛理に間違いなく怒られるよ」


 そう肩をすくめ、困ったように笑う先輩に思わず笑いがこみ上げてきた。


「本当に仲がよい兄妹ですね。うらやましいな」


「君はお姉さんがいるんだよね」


 愛理から聞いたのだろう。彼の言葉に小さくうなずく。


「あまり仲がいいというわけでもないんです。真由とか愛理の話を聞いていると、少しうらやましいなって思うの。兄弟と姉妹では少し違うのかもしれませんけどね」


 彼はその言葉に眉根を寄せる。思わず自分のことを話をしてしまったことを恥じ、頭をさげる。



「ごめんなさい」


「いいよ。俺でよかったらいつでも兄代わりになるよ」


 意表をつく言葉に目を見張り、彼を見る。


 一方の彼は首をかしげ、子供のような笑顔を浮かべている。
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