with you
「久しぶり。二ヶ月ぶりくらい?」


 彼女は駆け足で距離を詰めてくると、笑顔で話しかける。彼女の口には色つきのリップが塗られ、てかてかと輝いている。目には薄いアイラインを引き、目元をはっきりと際立たせていた。学校を出てからメイクをしたのだろうか。


 親しげに挨拶を交わすと、依田先輩を見つめていた。


「この人彼氏?」


 想像していない言葉に一気に顔が赤くなるのが分かった。だが、依田先輩は涼しい顔でその言葉を否定し、妹と私が同じクラスであることを告げていた。


 美由紀はその言葉に納得をし、依田先輩を再び仰ぐように見つめる。


「彼女とかいるんですか?」


 いつもより目を見開き、一オクターブほど高い可愛い声で依田先輩に聞いてくる。 


 その声に一瞬ドキッとしたが、依田先輩は表情を変えずに笑顔で言葉を返す。


「いないよ」


「私なんかどうですか? 咲の友人で平田美由紀といいます」


 依田先輩の目に困惑が映り、私は慌てて彼女をなだめようとしたが、その少し前に依田先輩が笑顔で返す。




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