with you
 その言葉に胸に針が刺さったようにいたむ。


 性格がいい悪いもぶりっこの有無も結局は人の主観で、そのことを否定することは難しい。


 しかし、それ以外の事実か否かの部分は虚言だった。でも、いつもそうだった。私の知らないところで、話が作られ、それがいつも事実となっていく。


 小学生のときも、中学生のときも。友達の振りをし、なぜか私のあら捜しをする人も多かった。昔から勘がよくそうしたことも分かってしまっていた。


 笑顔で話しかけてくれる友達も影ではそういっているのではないかと思い、周りが敵ばっかりに見えた。


 そんな状況で私を表立ってかばってくれたのは美由紀だけだったのだ。


「どうしたい? 止めさせることくらいならできると思うよ」


 その言葉に西原先輩を見る。先輩の髪の毛がかすんでいるのに気づいて、慌てて目をぬぐった。今の気持ちを声に出せなくて、首を横に振る。


 彼は私の背中を軽く押す。
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