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第4章 叶わない気持ち
「見て。これを買ってきたんだ」


 小学生のとき、同じクラスだった女の子が差し出したのはビーズのついたアクセサリだった。だが、隣にいた子も同じものを差し出した。


「昨日、一緒に買いに行ったんだ」


 二人は顔を見合わせてにやにやと笑う。


 歩いていくと三十分ほど離れたお店に売っているものだった。


「そうなの?」


 わたしとその子の家は歩いて二分も離れていない。帰りがけにそんな話は一言も出なかった。その二分の間に二人はそんな約束を交わしたんだろうか。


 だが、そう自分にいいように解釈しても心のどこかで答えがノーであることは知っていたのだ。



「そっか。可愛いね」


 胸の痛みを無視し、わたしは精一杯の笑みを浮かべていた。


 分かっていてやっているのだ。


 そんなことは一度や二度ではなかった。
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