with you
 今更挨拶もできなくなり、どう返事をしていいのか戸惑っていたとき、凛とした声が響く。


「朝っぱらからセクハラ?」


 振り返ると、すらっとした長身の女性がこちらをにらむようにして見つめていた。すごくきれいな人だった。


「セクハラじゃないよ。熱がありそうだったから声をかけただけだって」


「どうだか。すぐに人になれなれしく声をかけるし。だからこんなやつと一緒の学校に行くのは嫌だったのよね」


「お前が後から追いかけてきたようなものなのに、何を言っているんだよ」


 彼女はわざとらしくため息をつくと、冷めた目で男性を見ていた視線で私と真由を見る。


「こんな人、放っておいていいから。行きましょう」


「行くって」


 そう口にした真由の言葉に、彼女は目を細める。


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