with you
「一緒に行こうか？　それかスケッチブックを持っていくよ」


「大丈夫」


　私は二人に別れを告げ、自分の教室に戻る。階段をあがり、四階に行くと、依田先輩が女の人と話をしているのが見えた。一緒に話をしているのは宮脇先輩というわたしのクラスでも有名な人だった。



　こうして遠目に見ると、彼と今まで話をしたことのあること自体がウソのような気がしてくる。


　先輩にどんな話をしたら、そんなに笑顔で話に応じてくれるんだろう。


　階段の陰からのぞいているのに気づき、慌てて教室の中に入ろうとした。だが、そのとき声が届く。


「前原さん」


　その言葉に振り返ると、依田先輩が私を見て、手招きしている。


　戸惑いながらも二人の話す場所まで行く。


　私に最初に声をかけてきたのは宮脇先輩だった。彼女と直接話をしたことはないが、愛理と話をしているのは何度か目にしたことがあった。


　近くで見ると、遠目で見るよりも何倍も綺麗な人だということに気づかされた。

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